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赤外線センサー基板 |
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ガレージの前を通るといきなり照明が点灯することがあります.
私の近所では玄関灯にも使用しているところが多くなったように感じますが,これは赤外線センサによって点灯させる仕組みになっています.
ちなみに,赤外線センサは焦電型赤外線センサ,人体センサ,人感センサなどと呼ばれています.
赤外線センサー自体は珍しいものではありません.
検索すれば簡単にたくさんの情報が得られるので説明は省略します.
AC100Vで簡単に使用できるユニットを秋月電子さんで販売しているので,照明器具(白熱球100Wまで)をコントロールするならばそれを購入したほうが便利で安上がりです.
私もいつか使ってみようと思っていたのですが,特にAC100Vを赤外線センサでコントロールする必要が無かったので手をつけませんでした.
しかし,行き付けのお店(サトー電気町田店)で5V以上の電源で動作する完成基板に興味を惹かれたので,手に入れて調べてみることにしました.
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調査結果 |
これはかなりいじくった後の写真です.
無傷のものはサトー電気さんのホームページを見てください.
とりあえず使うための情報
とりあえず使いたい人のために,動作を決定する部品やコネクタ,外部接続などの情報をまとめます.
詳しい情報を知りたい人は,次の項目以降をご覧下さい.
@ 3ピンのジャンパピン
シルクでHとLが書かれています.通常はHにショートソケットを挿入してください.この状態で,出力ON期間中に赤外線センサが再検出すると出力ONが延長されます.
Lにしたときの動作は次項以降を参照してください.
A 3ピンの外部接続ピン
電源,および検出信号出力のピンです.セットには電線が圧着された接続用のソケットが添付されています.
各ピンのシルク表示と機能は次の通りです.
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ピン |
機能 |
詳細 |
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+ |
プラス電源入力 |
コモンに対してDC4.5〜24Vの直流電源を供給します.
消費電流は,非検出時に約50μAです. |
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OUT |
検出出力 |
赤外線センサが動作すると,一定時間Highが出力されます.
電圧レベルは,約3Vです.
ICの出力から1kΩの抵抗を通して接続されて居るので,このままでは電流を取ることは出来ません.
ロジックを替えることは出来ません. |
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− |
コモン |
電源,検出出力のコモンです. |
B 検出出力の直列抵抗
ICと検出出力の間に挿入されている1kΩの抵抗です.ショートするとICの出力をそのまま利用できます.
この抵抗をショートすると,約10mAの電流を負荷に供給することが出来ます.
C,D Txタイマー用CR
赤外線センサが動作すると一定時間出力がONになります.この時間を決めるCRです.
CTx(C)が470pF(実測503pF),RTx(D)が200kΩで,Txは約2.2秒です.
安定な動作をさせるために,RTxは1MΩ以下にしてください.
Txは次の式で求められます.
E,F Tiタイマー用CR
出力ON期間が終了すると,不感期間Tiに入ります.この期間は検出動作が禁止されます.この時間を決めるCRです.
CTi(E)が47nF(実測52.5nF),RTi(F)が1MΩで,Tiは約1.1秒です.
安定な動作をさせるために,RTiは1MΩ以下にしてください.
Tiは次の式で求められます.
G CDS接続ランド
周囲が明るいとき,検出動作を禁止するためのCDSを接続するランドです.
未接続のときは暗いときと同じなので,本器は動作状態を維持します.
普通のCDSならば問題なく使用することが出来ます.
ついでに購入すると便利な部品
すべてサトー電気さんで揃います.
品名 |
型名 |
数量 |
単価 |
価格 |
備考 |
人体感応センサユニット |
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1 |
\1,365 |
\1,365 |
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電池ホルダ 単三×3 |
006Pスナップ |
1 |
\147 |
\147 |
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006P電池スナップ |
2本組 |
1 |
\63 |
\63 |
006P電池兼用
006P電池に換えられるようにしておくと便利です. |
CDS(5φ) |
150V 100mW |
1 |
\105 |
\105 |
周囲が明るいときは動作を禁止するためのものです.
実装しないときは常に動作します.
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ジュラコンスペーサ |
2.6mm用4mm長 |
2 |
\53 |
\105 |
基板固定用 |
チップ抵抗(20本入り) |
2×1.25mm 0Ω |
1 |
\168 |
\168 |
出力と直列に入っている1kΩをショートするための抵抗です.
高インピーダンスで受けるか,半田でショートする場合は不要です.
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チップコンデンサ(20本位入り) |
2×1.25mm *1 |
1 |
\168 |
\168 |
定数は下記参照 |
*1 赤外線検出後に出力がHigh状態を維持する時間TXとコンデンサの目安.
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RTX=200kΩ
CTX |
TX |
備考 |
220pF |
1.0秒 |
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470pF |
2.1秒 |
実装されているコンデンサ |
0.0015uF |
6.7秒 |
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0.0022uF |
9.8秒 |
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0.0047uF |
20.9秒 |
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0.015uF |
1分7秒 |
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0.047uF |
3分29秒 |
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0.1uF |
7分24秒 |
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ユニットの詳細情報
16ピンDIPのBISS0001と3.3V出力の三端子電源,それに基板裏面にセンサがついています.いずれも中国,台湾製のようです.
パターンを調べるために基板裏面のレンズは取りはずしました.
このユニットは中国製です.
詳細は中国のサイトに記載されていますが中国語のページしかありません.
どこのWEB翻訳を通しても混乱しました.
以下の情報の大部分は,私がサンプル品を直接調査したものなので,情報信憑性は低いことをご了承ください.
また,実際の製品の特性と一致しないことあっても一切責任は負えません.
外部との接続,および設定
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@ジャンパピン |
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部品面の左上にジャンパピンがあり,H・Lいずれかにショートソケットを差し込みます.
サトー電気さんのホームページでは出力のロジックを切り替えると書かれていますが,これは間違いです.
(サトー電気さんのホームページは修正されるかもしれません)
ジャンパピンは赤外線再検出時の,出力再トリガの動作を設定します.
「動作タイミング」の項でさらに詳しく説明します. |
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・ジャンパピンがH側のとき |
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出力がONの間,サイド赤外線センサが人体を検出したときにしトリガがかかり,出力のON時間を延長します.
赤外線センサが人体検出を繰り返している間,出力はONのままになります. |
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・ジャンパピンがL側のとき |
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出力がONの間,赤外線差の再検出を無視します.
出力は一定時間(遅延時間TXと呼ぶ)経過後,OFFになり,さらに一定時間(封鎖時間Tiと呼ぶ)OFFを保ちます.
その後,センサの再検出が有効になります.
赤外線センサが人体検出を繰り返しても,出力はTX時間ONになり,Ti時間OFFになるモードです.
赤外線センサが人体検出を繰り返すと,出力がゆっくりと点滅するような感じです. |
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ACDS接続ランド |
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光があたると抵抗が極端に減少するCDSを接続するランドが設けられています.
CDSが受光しているときは赤外線センサーの検出を禁止する回路が組み込まれています.
照明のコントローラとして動作させることを意識したものと考えられます.
CDSはサトー電気さんでも入手できるので,実験するときは一緒に購入すると良いでしょう.
光検出の程度差はあると思いますが,サトー電気さんで販売しているCDSならばどのタイプでも動作すると思います.
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B外部接続端子 |
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3ピンのコネクタ接続用端子が出ています. 製品には電線が圧着されたコネクタが添付されているのでそれを使って接続します. |
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【+端子,−端子】 |
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直流電源を接続します.
中国サイトの製品仕様を見ると,電源はDC4.5〜24Vで動作すると書いてあります.
低電力,低ドロップの3.3V三端子レギュレータを使っているので,妥当な値と思います.
特筆できるのは,非動作時の消費電流が50μAと言う点でしょう.
回路図を見るとわかりますが,周辺回路の定数も低消費電流を意識した選定になっています.
下記条件で実際に測ってみると,44μAでした.
・電源電圧4.5V
・非検出
・出力OFF
・CDSなし |
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【OUT】 |
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ロジック出力端子です.
人体を検出するとICの電源電圧とほぼ同じ値を出力します.
主ICのBISS0001のデータを見ると,5Vの電源電圧において10mAのドライブ能力があるようですが,この基板は直列に1kΩの抵抗が入っているので注意が必要です.
LED,フォトカップラ,フォトMOSリレーなどを直接ドライブするためには,この抵抗を短絡する必要があります.
ICの電源は3.3Vで動作していますが,10mA程度は流せるようです. |
回路
回路図
チップコンデンサは容量を実測しましたが,ハンディタイプのDMMを使ったので,あてにならないかもしれません.
参考にされる方は,私のいい加減な取り組み姿勢による回路図であることに十分ご注意くださいまし.
BISS0001に能動部品をぶら下げただけですが,センサー以降の部分は良く見かける回路を想像させる構成になっています.
BISS0001の内部構成を見ながら回路を追いかけるとわかりやすいと思います.
動作タイミング
赤外線センサーに使用される標準的な回路部品を忠実に組み込んだような構成になっているのでセンサ周辺の説明は省略します.
異なるのは状態コントローラとタイマーなので,この部分を説明します.
BIS0001には2個のタイマーが組み込まれています.
センサーが動作すると出力(VO)がHighになると同時に遅延タイマーTXがトリガされます.
TXがタイムアップすると出力(VO)はLowになり,次に封鎖タイマーTiがトリガされます.
封鎖タイマーがタイムアップするまではU2のゲートが禁止され,センサーからの信号が無視されます.
封鎖タイマーと言うのはとても中国的な表現ですが,適切な日本語表現を思いつかなかったのでそのまま使います.
状態コントローラにはAと言う,信号名だけではわけのわからない入力信号があります.
入力Aのロジックに対するタイミングチャートを参照してください.
AがHigh の時は遅延タイマーTxの再トリガを受け付けますが,Lowの時は禁止します.
つまり,AがHighの時は赤外線センサが連続で検出していると出力(VO)がHghの状態を維持しますが,AをLowにしておくと遅延タイマーTXが経過した後,Tiが動作する間は必ず出力がLowに下がります.
照明を駆動していれば点滅動作になるわけです.
通常はHighにしておいたほうが使いやすいと思います.
このユニットではジャンパピンによる設定でA入力のロジックを切り替えます.
ジャンパピンのHをショートするとA入力がHighになります.
タイマーの時間
二つのタイマーはヒステリシスを持つインバータ発振器とカウンタにより構成されているようです.
RR1,RC1,RR2,RC2に接続するR,Cによって発振器の周波数を調整して遅延時間を決定します.
RR1,RC1に接続する遅延タイマーTXのR,CをRTX,CTX,RR2,RC2に接続する封鎖タイマーTiのR,CをRTi,CTiとすると
各タイマーの動作時間は次式で得られます.
半端な値に感じられるかもしれませんが,動作を調査して得られた式です.
式の根拠は別ページにまとめましたので参考にしてください.
入手した基板の定数を代入すると次のようになります.
実際の値と比較すると,十分な精度で計算できることがわかります.
◆TXの計算値と実測値
実測値 2.19秒 <RR1端子電圧波形>
◆Tiの計算値と実測値
実測値 1.15秒 <RR2端子電圧波形>
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使ってみる |
人感センサー電子ろうそく
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下の写真は町田の東急ハンズ2階で見つけた電子ろうそくです.
サトー電気町田店に行ったついでに買ってきたもので,内部はボタン型電池,スイッチ,LEDのみと言う,きわめてシンプルな構成になっています.
LEDには点滅用のICが組み込まれているようで,本当の炎のようにオレンジ色でランダムな点滅をします.
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